こんにちは、宝塚ともり法律事務所の弁護士の佐藤英生です。
ご無沙汰しております。
最近は相続に関するお問い合わせをいただくことも多いです。
今回は親族のうち亡くなる順番によってどのような違いが生じるのかについてお伝えさせていただこうと思います。
法定相続人の順位
死亡した人の配偶者(夫や妻です。)は常に相続人となり、配偶者以外の人は、次の順序で配偶者と一緒に相続人になります。
- 第1順位 子
- 第2順位 直系尊属(親や祖父母等)
- 第3順位 兄弟姉妹
子がいないときは、夫婦のどちらが先に亡くなるかで法定相続人の範囲が大きく異なることになります。
すなわち、先に夫が亡くなった場合には妻と夫の親族が相続人となり、先に妻が亡くなった場合には夫と妻の親族が相続人となります。
子がいないときは特に注意が必要となります。
事例
- 夫80歳、妻60歳の年の差夫婦
- 子はなし
- 直系尊属もなし
- 双方とも兄弟姉妹はいる
- 妻の兄弟姉妹とは折り合いが悪い
夫は自身が先に亡くなると考えて、相続税対策のためにほぼすべての夫婦の財産を妻名義で築いていました。
しかし、ある時、妻が急死してしまいました。
妻名義の財産はすべて凍結されてしまい、夫は生活費の払戻しも受けられず、その日の生活にも困るようになってしまいました。
折り合いの悪い妻の兄弟姉妹と遺産分割を行わなければならなくなり、決着まで何年もかかることになってしまいました。
また、兄弟姉妹の法定相続分に相当する4分の1の遺産を失うことにもなってしまいました。
どのようにすればよかったか
このような結末を避けるためにはどのようにすればよかったのでしょうか。
今回の事例のように親族のうち誰が先に亡くなるのかは誰にもわかりません。
相続税対策にも配慮しながら、一定程度夫名義での財産も築きながら、双方が遺言を作成しておくことが一番良い方法であったのではないかと思います。
兄弟姉妹には遺留分がないことから、遺言を残しておけば他の配偶者のみに相続させることが可能となります。
自分だけでは判断をせずに専門家に相談をしながらより良い方法を探っていくのが肝要かと思います。