こんにちは、宝塚ともり法律事務所の弁護士の佐藤英生です。
ご無沙汰しております。
離婚の際に問題となる婚姻費用・養育費ですが、その金額の基準はどのようなものなのかについてご説明させていただこうと思います。
目次
婚姻費用・養育費算定表とは
婚姻費用・養育費の算定にあたっては、簡易迅速に算定するために、裁判所により算定表というものが公表されています。
この算定表は、子の数によって表が分かれており、縦軸が義務者の収入、横軸が権利者の収入であって、それぞれの収入をあてはめると相当な婚姻費用・養育費の金額が求められる表のことです。
その基となっているのは標準算定方式というものです。
この算定表は、元々は2003年に定められておりましたが、その後の社会情勢の変化等を踏まえて2019年に現在の算定表が定められました。
実務では、この算定表に基づいて婚姻費用・養育費を決めていますので、非常に重要なものであることは間違いありません。
ただ、この算定表がカバーしている範囲を理解していなければ、妥当な金額で決定できない可能性が出てきます。
算定表が使用できない例
子が4人以上の場合
算定表は子3人までに対応しています。子が4人以上の場合は算定表により算出することはできませんので、標準算定方式による計算が必要となります。
義務者の収入が2000万円を超える場合(給与収入の場合)
算定表は義務者の収入については2000万円まで対応していますので、これを超える場合は標準算定方式による計算が必要となります。なお、自営業の場合は1567万円が限度となります。
権利者の収入が1000万円を超える場合(給与収入の場合)
算定表は権利者の収入については1000万円まで対応していますので、これを超える場合は標準算定方式による計算が必要となります。なお、自営業の場合は763万円が限度となります。
それぞれが子を監護している場合
算定表は親の一方が子を監護している場合にのみ対応しています。親のそれぞれが子を監護している場合には標準算定方式による計算が必要となります。
婚外子(認知等)がいる場合
算定表は婚外子がいる場合には対応していません。この場合には標準算定方式による計算が必要となります。
算定表から修正し得る要素
住居関係費
夫が家を出て、自己の賃料を負担しながら妻が生活している住居の住宅ローンを負担している場合にこの状況を反映しなくて良いのかという問題があります。
教育関係費
子が私立学校に通学している場合等、多額の教育費が必要となる場合に、どのように反映するかという点が問題になることがあります。
まとめ
以上のように、算定表が定められているからといって単純に適用することができないケースも多々あります。
そのために、相当な金額を定めることができないということも生じえますので、一度詳しい弁護士へのご相談をおすすめします。